ガーデニング相談室
Vol.8
杉井  クリンスイ・クラブの皆さんこんにちは、杉井明美です。外はすっかり秋から冬、葉を落とした木々のシルエットが美しい季節になりましたね。それに落ち葉を踏んで歩く感触と匂い‥、冬は植物をまったく違う角度から味わえる季節ではないでしょうか?
番頭  何を言っているんですか先生!何が落ち葉の匂いですか?聞きましたよ、ブラジル行っていたそうじゃないですか?先生がサンバ踊っている写真が「趣味の園芸」に出ていましたよ。
杉井  ‥。ブラジルには行きましたがサンバは踊っていません。今回は私が育種をしているペチュニアの原種を見にいったんです。いわばお花の表敬訪問ですね。
番頭  はあ、ペチュニアを見にブラジルまでですか。
杉井  野生のペチュニアってすごくたくましいんですよ。他にも見たこともないような植物がたくさんあって、園芸家としての自分の仕事の大元を見たような気がしました。信じられないほど大きなナス科の花や、3mもあるサルビアとか、日本ではなかなか見られない這性のサルビア、それに世界最大の草本といわれるグンネラとか、向こうに行かないと見ることのできない植物がたくさんありましたね。
アセビのような、でも多分ツツジ科の植物で、とても惹かれるお花があったのですが、はじめて見る植物で名前もわからないんですよ。
とにかく目に入る植物がみんな新鮮で驚くことばかりで、車で移動している間も思わず声をあげてしまう景色ばっかりでした。
番頭  先生あまり興奮しないで‥。先生を驚かすブラジルの自然はともかく、車の中でキャーキャー言ってる先生を見た運転手さんも、きっと驚いたことでしょう。
杉井  たしかに向こうでは当たり前の光景なので、そんな風に思われたかもしれませんが‥。茶化していないで質問に行きなさい。
番頭

 失礼しました。では最初の質問、東京都の大田さんからで、
『よく年末年始のシーズンに福寿草を購入するのですが、花が咲く前に枯らしてしまう事が多く、うまく育てられません。花を咲かせるコツや長生きさせるコツなど教えていただけますか?』
お正月のお花として、その名もおめでたい福寿草ですね。結構どこにでもあるような気もしますが、育てるとなるとどんなコツがいりますか?

杉井  年末から年始にかけて出回る福寿草は、地面から芽の部分を掘り起こした「地掘り」と呼ばれるものが多いんです。ポットの苗と違って根が張っていませんから、たしかに育てにくいかもしれませんね。
でも一度も咲かずに枯れてしまうとなると‥、湿度不足が原因として考えられます。福寿草は本来外で育てるものなのですが、この季節は室内で育てる方が多く、室内だと湿度が不足して枯れてしまうことがあるんです。部屋の中に置いておくときは、時折霧吹きで水をあげて全体に潤いを与えてあげるとよいでしょう。これは縁起物の松竹梅の寄せ植えなどに見られる、室内置きの梅の木などにも言えることです。
もうひとつ、自然の中の福寿草は落ち葉がたくさん積もった、ふかふかで水はけの良いところに咲いています。ですからおうちで育てるときも、土に腐葉土などを混ぜてあげるとよいですね。 直射日光にも弱いですから、特に夏場は風通しのよい日陰に移してあげてください。
番頭  なるほど。大田さん、きれいな福寿草に囲まれたお正月になるといいですねー!ところで福寿草というと有名な句が。『フクジュソウ、三畳一間で六万円』。
杉井  字が違うでしょ!と、一応突っ込みますが、亡くなられた春風亭柳昇師匠が偲ばれますね。
番頭  マニアックなネタはこのくらいにしまして、次の質問です。神奈川県にお住まいの坂本さんからでして、
『クリスマスといえばツリーやポインセチアばかりがイメージされますが、クリスマスにふさわしい他の花々も教えてください。リースにも使ってみたいと思うのですが・・・』
これはちょっと難しい質問ですよ。なんといいますか、先生がクリスマスのアレンジをするとした場合に使いたくなるような変わった植物といきましょうか。
杉井  たしかにクリスマスの飾りつけと言うとコニファーをツリーに見立てたり、シクラメンやポインセチアを飾ったり、ヒイラギのリースを作ったりが主流ですねえ。そもそもなんでポインセチアをクリスマスに飾るかと言うと赤とグリーンがクリスマスカラーだからということと、冬に色づくことからなんですね。
たとえば赤いアザレアの花とコニファーの組合せなんかはおすすめですね。組み合わせるといっても寄せ植えではなく、寄せ鉢、つまり植え替えずに鉢ごと大きめの鉢に入れたり、ラッピングペーパーなんかで包んだりする方法を使えば、クリスマスが終わったあとも楽しめますよ。
番頭  ははあ、アザレアは私も知ってます、いかにもパーティーに相応しい豪勢な花ですよね。リースみたいな飾りは‥先生は作ったりしないんですか?
杉井  もちろん作りますよ。変わった飾りというほどではないかもしれませんが、サンキライとか唐辛子などの赤い実はよく使いますね。あとはマツボックリとかドングリなどの木の実‥、腐ったり枯れたりするものではありませんから秋口になったら早めに集めておくとよいですね。植物ではありませんが、マカロニに色をつけて使ったりもしますよ。
番頭  あ、なるほど、リース作りを考えて秋の野山を歩くなんて、それはまた楽しそうですね!坂本さんも、ぜひ独自の感性で、クリスマスを楽しんでください。 さて、本日最後の質問です。こちらもクリスマスネタです、千葉県の宮下さんからで、
『うちは庭も無いマンション住いなので、クリスマス前に小さなもみの木を買ってきて家の中で育てようかと考えてますが、部屋の中で育てる場合の注意事項と大きくならない程々の大きさに育てるコツなどアドバイスを いただければ幸いです。』
こうして考えるとクリスマスって、やっぱり花や緑が幅を利かせるイベントなのですねえ。かくいう私も子供の頃は大きなツリーに憧れましたが、しかし小さなモミの木なんて手に入るのですか?
杉井  番頭さんはそもそもツリー以外で本当のモミの木を見たことがありますか?
番頭  野生のモミの木ですか。桜やポプラはよく見かけますが、考えてみるとモミの木って見たことありませんね。
杉井  通常モミの木といって売られているのは、ドイツトウヒというコニファー類の針葉樹が多いようです。コニファー類は、寒さに強い常緑樹という点がクリスマスツリーのイメージなので、あまり種類にこだわらずに使っても良いと思います。
番頭  なるほど、で、室内で育てる場合なのですが‥
杉井  コニファー類には、ある程度の明るさがあれば家の中でも育てられる種類が多くあります。但し、基本はあくまでも外で育てるものですから、クリスマスが終わったら屋外に出してあげたほうが良いですね。
大きくならないように育てるには、植え替えるときに鉢の大きさを変えないこと。普通植え替えは一回り大き目の鉢に入れてあげるのですが、同じ大きさの鉢を用意して、土だけ1/3くらいを落として、入れ替えてあげるんです。土が活性化されて元気になりますよ。
番頭  へえ、そういう方法があるのですね。宮下さん、お庭はなくてもツリーだけは飾りたいと言う信仰心、素晴らしいですね。私はむしろツリーの大きさよりケーキの大きさが気になります。
杉井  なるほど、西洋では「花より団子」のことを「ツリーよりケーキ」と言うんですね。
番頭  言いません。なにか先生と番頭のセリフが逆転しているような‥。どうやら今年最後の質問にも無事に答えられたようです。
杉井  今年も一年間、本紙の連載共々ご愛読ありがとうございました。皆さん、花と緑に囲まれた楽しいクリスマスと良い新年をお迎えください。
番頭  めずらしくきれいにまとまりましたね。来年も皆様からのご質問やお便りをお待ちしています。
杉井  番頭さんからのクリスマスプレゼントは‥、期待していません。
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