ある日、ポヨンはハンナに聞きました。

「サンタクロースっていると思う?」
「いるに決まってるじゃない」
「そうなのかなぁ・・」
「だって、わたし見たんだもの」
「ホント!? どこで?」
去年のクリスマス・イブの日のことです。
いつものように、仲良しのイヌが公園に散歩にやって来ました。
するとハンナは、こっそり打ち明けました。
「わたしね、今晩サンタさんに会うつもり」
イヌが驚いて、どうやって会うのか聞くと、
ハンナはひと晩中起きて空を見張っているのだと言いました。
「今夜は、必ずサンタさんがやって来るはずでしょ。
ずうっと起きて待っていたらきっと会えるに違いないわ」
イヌはそれを聞くと、自分もぜひ会ってみたくなりました。
「ボクも、ハンナと一緒にサンタを待っていいかなぁ。
夜中に、そっと家を抜け出して来るよ」
その夜、ハンナが公園の広場で空を見上げていると、
約束通りイヌがやってきました。
「ホントに来たのね」
「もちろんだよ。家を抜け出すのは大変だったけどね」
ハンナとイヌはドキドキしながら、じっと空を見上げていました。
でも、サンタがやって来る気配はありません。それどころか、月や星さえも
見えない夜でした。おまけにどんどん寒くなってきます。
ハンナはイヌのしっぽの毛の中にもぐりこんで、震えながら空を見ています。
するとイヌが突然言いました。
「あっ、何か動いたよ」
「えっ!どこ」
ハンナには何も見えません。
「ほら、また動いた」
目を凝らしてみると、
確かに何か白いものがチラチラしながらこちらに向かってきます。
「つめたっ!」
ハンナは思わず叫びました。雪でした。
雪は次から次へと落ちてきて、やがて本格的に降り出しました。
「サンタさんはソリに乗ってくるのよ。雪が降り出したってことは、
サンタさんがやって来る前ぶれだわ」
そう思ったとたん、ハンナもイヌも急に元気が出ました。
もうすぐ会えると思うと、ワクワクしてじっとしていられません。
イヌははしゃいで、雪の中を走り回りました。ハンナもあとを追いかけて、
雪が積もり出した広場に飛び出します。
「ジングルベル、ジングルベル、鈴が鳴る~♪」
静まり返った真夜中の公園には、ハンナの大きな歌声が長い間響いていました。
時間が経つのも忘れてはしゃぎまわっていたふたりでしたが、
さすがに疲れたようです。雪がやんで東の空がかすかに明るくなりかける
ころには、いつの間にか眠ってしまっていたのでした。
「で、目が覚めたときには、すっかり陽がのぼっていたのよ」
話を聞き終わったポヨンは、不満そうに口をとがらせて言いました。
「サンタクロースは、出てこないじゃないか」
「これからよ。
陽がのぼったばかりで公園はまだひと気もなかったんだけど、雪で
真っ白になった広場一面に、なんとトナカイの足あとがいっぱいあったの」
「じゃあ、眠っている間にサンタのソリが広場に来てたの!?」
「そうよ。この目で見ることはできなかったけど、
そこには確かにサンタさんがいたのよ」
「スゴイ!」
興奮しているポヨンとハンナに、横で話を聞いていたポッポポが言いました。「トナカイの足あとって、もしかしてイヌ君の足あとに似てませんでした?」
「あーあ、そういえばちょっと似ていた気がする」
「やっぱりね」