ついに目の前にあらわれたカビィ。恐ろしいのは、不気味な姿だけではありません。さらにポヨンをおびえさせたのは、その強烈な匂いでした。
こんなヒドイ匂いは、かいだことがありません。思わず息を止めてしまうほどです。
「おまえたちに、お仕置きをするでやんす。ウヒヒ、ウヒヒ」
カビィはものすごい匂いを出しながら、ドロリとした体を近づけてきます。
「うわぁ、助けてー!」
ポヨンとハンナは、悲鳴をあげて逃げ出しました。
「カビィの天国を荒らすヤツ、絶対許さないでやんすよ」
後ろから、カビィの恐ろしい声が追いかけてきます。ポヨンは、全速力で泳ぎました。薄暗い池の中では、まわりの様子がさっぱりわかりません。一緒に逃げているはずのハンナの姿だって、よく見えないくらいです。
それでも、とにかく必死で泳ぎ続けました。
カビィの声が、遠のいたような気がします。ポヨンは少しほっとして、ハンナに声をかけました。
「ちょっと引き離したみたいだ。危なかったね」
あれ?ハンナの返事がありません。
「ハンナ?」
もう一度声をかけましたが、やはりしんとしたままです。
あたりを泳ぎまわって、目をこらしてみても、ハンナの姿が見えません。
「きゃあーっ!」
後ろの方から、ハンナの悲鳴が聞こえました。泳ぎの得意なポヨンは、どうやらハンナをすっかり置き去りにしてしまっていたようです。
ハンナがカビィにつかまったに違いありません。ポヨンはあわてて、今来た方へ戻ります。
ぼんやりと緑色の影が見えてきました。その前に小さなピンク色の影。今まさに、あの不気味な体がハンナの上にのしかかろうとしています。
ポヨンは夢中で泳いで、まっすぐにカビィに向かって体当たり。

その感触はドーン!ではなく、ベチョッ。そして次の瞬間、ポヨンは
「オェッ!」
息を止めるひまもなく、思いっきり悪臭を吸い込んでしまったのです。