「オェッ!オェッ!オェッーーーーーー!」
カビィの強烈な匂いに吐きそうになりながら、ポヨンはいったんカビィから離れました。早くハンナを助けなくちゃいけないのに、あの匂いを思うとポヨンはもう一度カビィに体当たりする勇気が出ません。
「やだ、やだ、やだ。もう、このまま逃げたい」
「だめ、だめ、だめ。ハンナを助けなくちゃ」
「やっぱり、やだ、やだ、やだ」「だめ、だめ、だめ」
「でも、やだ、やだ、やだ」「だめ、だめ、だめ」
ポヨンは、ぶつぶつとひとりごとを言っています。頭ではわかっているのに、体が動かないのです。
「ポヨン!」
後ろから声をかけられて、驚いて振り向くとハンナが立っていました。
「助けてくれて、ありがとう」
ポヨンが体当たりをした瞬間カビィの体がぐらりとゆれて、間一髪でハンナは逃げ出せたと言うのです。
ポヨンは、「違うんだ」と言おうとしましたが、ハンナの後ろに再びカビィが迫ってきていました。
ポヨンはあわててハンナの手をとると、全速力で泳いだのです。今度はハンナを置き去りにしないように、しっかりと手をつないで。
どこをどうやって泳いできたのか、とにかく岸にたどりついたときには、ふたりともヘトヘトでした。しばらく芝生にごろんと寝ころんで、ぼんやりと空をながめていました。
「恐かったね。ポヨンがいなかったらつかまってた」
ポヨンは黙り込んでしまいました。
「ポヨンどうしたの?どこか痛いの?」
ポヨンは長い間黙っていましたが、しばらくしてようやく口を開きました。
「違うんだ。ボク、ハンナを見捨てて逃げようとしたんだ」
ハンナは驚いて起きあがると、ポヨンの顔をじっと見つめたまま、

うっすら涙を浮かべました。