「ハンナ、あれは誰?恐くないの?」
「大丈夫、あれはイヌよ。よく公園に来るから知り合いなの。やさしいし、もの知りなのよ」
ハンナが話しかけたのは、中でも一番大きなフサフサの毛をしたイヌです。
きれいな水のある場所を聞くと、イヌは少し考えていましたが、やがて言いました。
「川かなぁ」
「カワ?」
ふたり揃って聞き返します。
「ボクのご主人がキャンプに行った所だよ。すごくきれいな水が流れていたよ」
それを聞いたポヨンは、目を輝かせてすぐにでも川へ行こうと大はしゃぎ。
だけど、きれいな川はとても遠い所にあるのだと言われてしまいました。
そのとき、バタバタバタッと大きな音がしました。走り回るイヌに驚いて、いっせいに飛び立ったハトたちです。揃って高く高く飛び上がって行きました。
「ポヨン!ハトに乗って川へ行こうよ」
「えっ!?」
「あれだけ高く飛べるんだもの、どこへでも行けるはずよ」
ハトたちが戻ってくると、さっそく頼みに行きました。
「きれいな川ねぇ。どこにあるのかわからないのに、どうやって行くんだい」
と迷惑そうなハト。
「木にかこまれた川だっていうから、高いところからさがせばすぐに見つかると思うの」
ハンナは食い下がります。
「でも、遠いんだろう。疲れそうだなぁ」
「お願い!」
ふたりで声を揃えます。

「じゃあ、その豆をくれたら考えてもいいよ」
とハトはポヨンを指さしました。
「豆?」
「キミが背中にしょっているのは、豆の袋だろ」
確かにポヨンは袋をしょっていました。まだ、森の湖にいた頃に小鳥たちからもらったものです。何に使うのかわからなかったけど、せっかくのプレゼントなので大事に持ち歩いていたのです。そういえば、豆の形のように見えます。
「この袋が欲しいの?」
「違う、袋の中の豆だよ」
「袋の中はからっぽだけど」
「なぁんだ、じゃあダメだね」
ハトはさっさと行ってしまいました。
ふたりはまた、ガックリと肩を落とします。ところが、下を向いてため息をついたときです。
「あのう、ワタシが乗せて行きましょうか」
と誰かが声をかけてきました。