ひしめく屋根の間にはいくつもの道が通っていて、そこを箱のようなものが素早く動いています。
「どっちへ行ったらいいのか、さっぱりわからない。だいたい、あの箱は何?」
「車です。人間たちはつばさがないから、あれに乗って遠くまで行くんです」
ポヨンのことばにポッポポが答えます。
「車に乗って遠くへ?じゃあ、イヌのご主人もあれに乗って川へ行ったんだね」
「ポヨン、頭いいわ!つまり、車を追いかければ川へ行けるってことね」
けれど、車はたくさんあって、しかもみんなバラバラの方向へ走っています。
ポッポポは、とりあえず電柱の上に降りてひと休みすることにしました。
降り立った電柱の横には、カラスが3羽、電線にとまって仲良くおしゃべりをしていました。ポッポポがカラスたちに声をかけます。
「あのう、ちょっとお聞きしたいのですが、どこかで川のうわさを聞いたことはありませんか」
「カワ?オマエ知ってる?」
「カワねぇ・・」
「オレ、知ってるぜ。この間来た新入りが、川を縄張りにしてたって」
「ああ、向こうはエサが少ないから町に出稼ぎに来たって言ってたヤツ」
「そうそう。なんでも、西の方へずっと行ったところの川沿いの林をねぐらにしてるって」
「西の方ですね!!ありがとうございます」
ポッポポはそう言うと、あっという間にまた飛び立ちました。
「ひゃあ!」「おっとっと」
ハンナもポヨンももう少しで振り落とされるところでした。
「あっ、すみません。一刻も早く川を見たくて」
「・・・そ、そうだよね。ボクたちだって同じだよ」
ポヨンはなんとかそう答えると、猛スピードで西へ向かって飛ぶポッポポの背中に必死でつかまりました。
しばらくすると家がだんだんまばらになって、田んぼが広がりはじめました。
「ポヨン!あれ林じゃないかしら」
田んぼのずっと向こうに濃い緑色のかたまりがあります。
「そうだよ、林だ!」
もう、川はすぐ近くです。ポッポポはますますスピードを上げました。
ふたりはドキドキしながら、先を見つめます。
林が近づくと、その奥にキラキラ光るものが。
「川だぁ!!」
3人が同時に叫びました。
ポヨンたちは、ついにきれいな水をさがし当てたのです。
(「ポヨンの冒険」第1章おわり)
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