久しぶりの水の中はやっぱり気持ちいい、とポヨンはニンマリしました。
でも、思ったほど透きとおっていないのは、ちょっとがっかりです。
川の中はかすみがかかったようにうっすら濁っていて、
遠くの方までは見えないのです。
「ポヨン、ちょっと待ってよぉ」
後ろからハンナが追いかけてきました。
「ポヨンったら、ひとりでさっさと行っちゃうんだから」
「あ、ごめん」
ポヨンが素直にあやまると、ハンナはすぐにきげんを直しました。
「それはそうと、ポッポポが言ってた自転車を見に行ってみない?」
「そっか、川の中から見たら何かわかるかもしれないね。よし!行こう」
ふたりは川の真ん中へ向かって泳ぎ出します。川はプールや池と違って、
流れがあるので泳ぐのも結構大変です。ところが、しばらく進むと、
急に流れがゆるやかになりました。川の底がボコンと大きくえぐれたように
なっていて、そこだけ水が止まっているのです。
ハンナはふうっと息をつきました。
「ポヨン、ちょっと休まない?」
「いいよ」
そう言って、少し大きめの石につかまろうとしたときです。
どこかから、聞き覚えのあるへんな笑い声が聞こえてきました。
「ウヒヒ、ウヒヒ」
ポヨンもハンナもギョッとして目をこらします。すると、つかまろうとした
石の向こうに、ドロリとした緑色の体が見えました。カビィです。
「よどみは気持ちいいでやんす、ウヒヒ、ウヒヒ」
例によって、頭の先から胞子がモヤモヤとわき出ています。まさか、川にまで
カビィがいるとは。ポヨンもハンナもびっくりです。さっさと逃げたいの
ですが、石の陰から出たらすぐにカビィに見つかってしまいそうです。
「どうする?ポヨン」
「ここでじっとして、カビィが向こうへ行くまで待とう」
カビィはのっそりと歩いています。
「ウヒヒ、川をカビィの天国にするでやんす」
そう言うと、勢いよく胞子を出しました。
「きゃっ!」
ハンナが急に大きな声をもらしました。目の前に胞子が飛んできたのです。
「誰か、いるでやんすか?」