「ハンナ、ありがとう」
カビィから逃れたポヨンがハンナに駆け寄ります。
「頭突きは失敗したはずなのに、どうなってるの?」
「ハンナの頭の花だよ、きっと。花がゆれたとたん、
なんだかいい匂いがしてカビィがくしゃみをしたんだ」
「この花が?」
ハンナは不思議そうに頭の花をゆらしてみます。
「ヘックション、ヘックション、ヘックション」
再び目の前にせまってきていたカビィが、
たてつづけにものすごいくしゃみをしました。
「ハンナ、もっとゆらしてみて」
ハンナが花をゆらし続けると、あたりには花の甘くていい香りが
立ちこめてきました。

「ヘックション、ヘックション、ヘックション」
カビィは相変わらず、くしゃみが止まりません。ただ、くしゃみをする声が、だんだん小さくなっているようなのです。そして驚いたことに、
どうやらカビィの体そのものが小さくなっていくようなのです。
「ハンナ、そのまま続けて」
「苦しいでやんす、ヘックション。やめて・・・」
カビィはますます小さくなっていき、もう、声を聞き取ることも
できないくらいです。最後はまるで、ちいさな点のようになって、とうとう
消えてしまいました。
「やったぁ!」
「やったね、ハンナ。すごいよ」
「わたしにこんなことができるなんて、信じられない」
ふたりは手をとりあって喜びました。でも、さすがにこのまま川を先に進む
気にはなれません。もう、すっかりくたくたです。自転車を見に行くのを
あきらめて、一度河原に戻ることにしました。
岸にたどりつくと、ポッポポが心配そうにふたりを待っていました。
「無事で良かったです。なかなか帰ってこないので、
流されてしまったのかと心配しました」
ポヨンとハンナはカビィとの戦いのことを話し、どうやらこの川の水も
あまりきれいではないみたいだと、肩を落としました。
「なんか、がっかりよね」
ハンナはぐったりと草の中に座り込みます。ポヨンもそれを見習うように、
ばたんと寝ころびました。すると、
「イテテテテ」
ポヨンの背中のあたりから、突然声が聞こえてきました。