「この川を目印にして、飛んでいけばいいのですね」
ポッポポが聞くと、ポヨンは大きくうなずいて目を輝かせました。
ついに、ふるさとの湖に向けて出発することになったのです。
ハンナとグーラも一緒です。
初めて旅をするグーラは、ちょっと緊張しています。
「何も持っていかなくていいクサ?水とか・・・
途中でのどが渇いたりしたら、困るクサ」
「何言ってるの。ずっと川の上を飛んで行くんだもの、
いつでも水はたっぷりあるわよ」
「さあ、何も心配しないで、みなさん私の背中に乗ってください」
グーラとハンナがポッポポに乗り、最後にポヨンが乗ろうとしたときです、
「ちょっと待った!」
遠くの方から声がしました。林のカラスです。
猛スピードでこちらに飛んできます。
「見送りくらいさせてくれよ」
カラスはそう言うと、ポヨンに向かってゆっくりと降りてきます。
そして、爪の間からポトリと何かを落としました。
「おせんべつさ」
それはきれいなドングリでした。
「あんたがしょってるその袋、からっぽだって言ってただろう。
旅に出るときくらい、なんか入れなきゃな」
「ありがとう」
ポヨンはうれしさとお別れの淋しさと、両方の気持ちがいっぺんに
こみあげてきて、泣いてしまいそうでした。
ハンナが降りてきて、ドングリをポヨンの豆の袋に入れてあげます。
小さな袋は、たったひとつでいっぱいになりました。
「ひとつきりだけどさ、林じゅうをさがして、いちばんきれいで
かっこいいのを持ってきたんだぜ」
「いろいろ、どうもありがとう。
最初はアッカンベーなんてしちゃったけど、すごく大好きだったよ」
ハンナはカラスに抱きついてワンワン泣き出してしまいました。
それにつられるように、ポヨンも、グーラも泣きました。
ポッポポも涙をうかべています。
「やんなっちゃうなぁ、みんな泣き虫で。ポヨンのふるさとへ行くんだろ。
いつまでも泣いていたら、日が暮れちゃうぜ」

さんざん泣いたポヨンたちは、ようやくポッポポの背中に乗り、
そしてとうとう飛び立ちました。
手を振るカラスがどんどん小さくなっていきます。
カラスは、いつまでもいつまでも手を振っていました。