ポヨンの冒険
ポヨンの冒険 Vol.32 旅立ち

「この川を目印にして、飛んでいけばいいのですね」
ポッポポが聞くと、ポヨンは大きくうなずいて目を輝かせました。
ついに、ふるさとの湖に向けて出発することになったのです。 ハンナとグーラも一緒です。
初めて旅をするグーラは、ちょっと緊張しています。
「何も持っていかなくていいクサ?水とか・・・
途中でのどが渇いたりしたら、困るクサ」
「何言ってるの。ずっと川の上を飛んで行くんだもの、
いつでも水はたっぷりあるわよ」
「さあ、何も心配しないで、みなさん私の背中に乗ってください」

グーラとハンナがポッポポに乗り、最後にポヨンが乗ろうとしたときです、
「ちょっと待った!」
遠くの方から声がしました。林のカラスです。
猛スピードでこちらに飛んできます。
「見送りくらいさせてくれよ」
カラスはそう言うと、ポヨンに向かってゆっくりと降りてきます。
そして、爪の間からポトリと何かを落としました。
「おせんべつさ」
それはきれいなドングリでした。
「あんたがしょってるその袋、からっぽだって言ってただろう。
旅に出るときくらい、なんか入れなきゃな」
「ありがとう」
ポヨンはうれしさとお別れの淋しさと、両方の気持ちがいっぺんに
こみあげてきて、泣いてしまいそうでした。

ハンナが降りてきて、ドングリをポヨンの豆の袋に入れてあげます。
小さな袋は、たったひとつでいっぱいになりました。
「ひとつきりだけどさ、林じゅうをさがして、いちばんきれいで
かっこいいのを持ってきたんだぜ」
「いろいろ、どうもありがとう。
最初はアッカンベーなんてしちゃったけど、すごく大好きだったよ」
ハンナはカラスに抱きついてワンワン泣き出してしまいました。
それにつられるように、ポヨンも、グーラも泣きました。
ポッポポも涙をうかべています。
「やんなっちゃうなぁ、みんな泣き虫で。ポヨンのふるさとへ行くんだろ。
いつまでも泣いていたら、日が暮れちゃうぜ」

ポヨンの豆の袋にドングリを入れてあげるハンナ

さんざん泣いたポヨンたちは、ようやくポッポポの背中に乗り、
そしてとうとう飛び立ちました。
手を振るカラスがどんどん小さくなっていきます。
カラスは、いつまでもいつまでも手を振っていました。

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■次のお話は「川をのぼって」です。■
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