キッキの話によると、森の木は次々に切りたおされ、山がくずされている
といいます。山の奥まで道路がつくられて、これからホテルやゴルフ場も
できるらしいのです。
「じゃあ、あの気味の悪い音は山をくずす音クサ?」
「イエス。ブルトーザーっていう恐ろしい機械で、
木をたおして土をけずっているのさ」
「ひどいわ。そんなことしたら、鹿だって逃げちゃう」
「鹿も鳥もカエルも、みんな逃げたんだよ、ベイビー。
あっ失礼、ハンナだったね」
「でも、木が切られるだけなら、湖とは関係ないような気がするのですが・・・」
ポッポポが首をかしげます。
「するどいね、ユー。ところが、木がなくなると
山の水はどんどん外へ流れ出てしまうのさ」
雨は木をつたわって落ち葉のすき間からゆっくり土にしみこみます。
木がなければ土にしみこむ間もなく、そのまま川へ流れて山にはたまりません。
山の水がなくなれば、湖だって枯れてしまうのです。
「とにかく、ここにはもう誰もいなくなっちゃったんだね」
ポヨンは淋しそうに言って、湖の方へ歩き出しました。せめてふるさとの水にさわりたくて、湖にそっと手を伸ばそうとしたとき、キッキの声が響きました。「ストップ!湖に入るな。誰もいなくなったわけじゃないんだ。
湖には、新しくやって来たやつもいるんだ」
「新しく来たやつ?」
驚いて振り返った瞬間、ポヨンは足をすべらせて湖の中へ落ちてしまいました。

「ひゃー!」湖の中は薄暗く、ドロリとしていました。
きれいだった、昔の湖とは大違いです。
「やっぱり、もうあの湖はなくなっちゃったんだ」
ポヨンが大きなため息をついたときです。
不気味な影がフワフワと動いてこちらに近づいてきました。
「なんだアレ。まさか、カビィ!?」
ポヨンはあわてて岸にもどろうとしたのですが、
あっという間にそのフワフワに包まれてしまいました。
しかも、フワフワがからまって手足がちっとも動かないのです。
「うわーっ!」