「グッドモーニング。ユーたち、まだ寝るつもりかい」
「ふぁー、おはようキッキ。いいお天気ね」
「まだ眠たいクサ。ポヨンは、もう出かけたクサ?」
あの大雨の日から、もうすぐ半年がたちます。
ポヨンは毎朝欠かさず、ドングリの様子を見に行っていました。
特に、最近は芽を出す日も近づいて、ものすごくはりきっています。
水やりもはじめました。わざわざ川まで行って吸い込んできた水を、
頭のアンテナから出して土にかけるのです。

「ただいまぁ」
ポヨンが帰ってきました。
「どう、芽は出た?」
ハンナが聞くと、ポヨンはニコニコ笑いながら答えます。
「まだだけど、きっともうすぐだよ」
なんだか、とてもうれしそうです。
「何かいいことでもあったクサ?」
ポヨンは大きくうなずきます。
「ブルドーザーが消えてたんだ!」
「ホント!?」「アンビリバボー!」
大雨の翌日から、森の向こうの様子が変わってきていました。人が大勢やってきて
ブルドーザーの前に座り込んだり、工事現場のまわりにたくさんの看板が立てられたり。
街の様子を見に行ったポッポポの話では、大雨で川が氾濫して家が水びたしだったそうです。
そして、あるときからブルドーザーの音が聞こえなくなったのです。
止まったままピクリとも動かなくなり、冬の間、一度も音は聞こえませんでした。
「寒いから、冬の間だけ休んでいるのさ」キッキはそう言っていました。
でも、春が来てもブルドーザーは動き出さず、今日ついに姿を消したというのです。
さっそく、みんなで確かめに行きました。
「やったわね、ポヨン!」
昨日までそこにあった大きな機械のかたまりは、本当にもうどこにありません。
「もう、森の木が倒されることはないクサ」
「ドングリが育って木が増えれば、元の森に戻るよね。
湖もきれいになってみんな帰ってくるよね」
「オフコース!それにしても、どうして消えたんだろう?」
「理由なんかどうでもいいわよ。とにかく、バンザーイ!」
その夜、ポヨンは夢を見ました。昔のあのきれいな湖で気持ちよく泳いでいるのです。
小鳥の声が聞こえます。鹿も水を飲みにやってきました。ハンナやグーラ、キッキも
一緒に泳いでいます。岸には、ポッポポと林のカラスがこちらを見ています。
そして、なんとクリーンJr.までいました。
「みんな、お帰り」
ポヨンはニヤニヤ笑いながら、寝ごとを言っているようでした。
幸せそうなポヨンの寝顔に朝陽があたりはじめた頃、森の向こうの工事現場では、
あちこちから、小さな緑色の芽が顔を出していました。
(「ポヨンの冒険」 第3章 おわり)