cleansui club 2006 春号 vol.23
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01 名水紀行 蒜山 真庭
02 水の匠たち ウォータージェットマシン
03 水と上手におつきあい 鼻洗浄で洗い流しましょう
04 吉川ゆりのあれこれ健康コーナー “正しい姿勢”
05 会員体験レポート サンドブラストに挑戦
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09
杉井明美の季節を探しに 続実践編
探検!この花!
第5回 福島県・三春町の滝桜
身近な植物のルーツを探しに、様々な土地を訪ねる「探検!この花!」、早いもので1年がたってしまいました。2年目の春は花見という言葉の主役、この連載に最もふさわしい花、桜を見にいきましょう。
 古くからもっとも日本人に愛されてきた桜は、全国に銘木が点在し、シーズンになるとマスコミでも多く取り上げられます。桜がこれほどまでに日本人に愛される理由はなんでしょうか?私は花の咲き方と色合いにあると思っています。葉もない枝にある日パッと花が咲く桜は「待ち遠しかった春が来た!」という高揚感を存分にかき立ててくれます。それに青空にとけこむような温かくやさしげな色と形、もしも桜が紫やオレンジのような極彩色だったらこれほど日本の景色には合わないと思いませんか?
今回、私が訪れたのは日本三大桜のひとつに数えられる福島県・三春の滝桜。ちなみに日本三大桜というのは、今回紹介する「福島県の滝桜」のほかに「岐阜県・根尾の薄墨桜」「山梨県・山高神代桜」を指します。私は三つとも見にいきましたが、いずれも個性的な魅力を持っています。その名の通り散り際に灰色をおびてくる「薄墨桜」は、夜が似合う妖しげな艶っぽさが感じられ、幹の真ん中が朽ちてなくなってしまっている老木の「神代桜」からは、美しさ以上に生命力の凄みを感じます。

 さて、「三春の滝桜」ですが、エドヒガン系の紅枝垂れ桜で、高さ12m、根回りは11mに達し、樹齢は1000年以上といわれます。ゆったりと枝を広げたボリューム感も見事ですが、特筆すべきは滝桜があるロケーション。四方から見渡せる斜面にあり、正面はもちろん、見上げても見下ろしても、脇から見ても、とにかく絵になる、山で言えば富士山のような、まさに選ばれし桜なのです。
福島県の三春町は、ウメ・桜・モモが同時に咲くことから土地の名がついたといわれ、滝桜のほかにも多くの桜の銘木があります。三春町の観光協会でもシーズンには立派なガイドマップを無料で配布していますので、桜巡りをするのも良いでしょう。

根元のすぐ近くまで行けるので、枝ぶりの素晴らしさが手に取るように実感できます。
滝桜の周りはぐるりと一周でき、様々な表情が見られます。
不動桜。訪れる人も少なく、枝垂れ桜そのものの美しさを、ゆっくりと楽しめます。
こちらも立派な福聚寺の桜。夜にはライトアップされるそうです。
庵を囲むように竹林、桜、梅のコントラストが素晴らしい雪村庵。
アクセス
■クルマで‥
東北自動車道・郡山JCTより、磐越自動車道・郡山東IC
常磐自動車道・いわきJCTより、磐越自動車道・船引三春IC
■電車で‥
東北新幹線・郡山駅から磐越東線で約15分、三春駅下車
■滝桜の開花情報は、三春町のインターネットホームページでご覧になれます。

 私も滝桜を堪能したあと、桜湖の反対側にある不動桜と、三春の中心にある福聚寺の桜を見に行きました。どちらも滝桜と同じ枝垂れ桜なのですが、福寿寺の桜は暗い山裾を背景にすることで枝ぶりも色も余計に際立って見え、不動明王を祀る不動堂の境内にある不動桜はお堂との組み合わせがいかにも自然で、長い年月をかけて地元の人々に愛されてきたことがよくわかります。やっぱり桜はロケーションごと楽しむことが大切で、この連載のテーマにはぴったりといえますね。

 実は三春には、もうずいぶん前に私が初めて訪れたとき、とても印象に残った桜があります。今回の撮影ではおぼろげな記憶を頼りに探し出し、念願の再会を果たすことができました。それは「雪村庵の桜」と呼ばれる室町期の画僧・雪村が晩年を過ごした地にある桜で、竹林を背景に、雪村桜、雪村梅と呼ばれる桜と梅の古木が庵をはさんで静かに咲いています。訪れる人も少なく、草に覆われた道や枯れた池などになんともいえない趣があり、竹の葉がこすれあう音がかすかに聞こえる静謐な雰囲気の中にたたずむ桜に心を奪われたのを覚えています。

 今回久しぶりに訪れて残念だったのは、駐車場が作られ歩道や階段も整地されて、すっかり観光地化されてしまったこと。銘木が大切に保存されるのはよいことですが、やり過ぎはかえって景観を損ねることになります。これは私が携わっているガーデニングについても言えることで、自然を作り変えることなく手を入れるのは、難しいけれど大切なことなのです。
子供の頃、私の実家の近くにあった八幡様の祠の横に、大きな桜の木がありました。残念ながら病院を建てるために切られてしまいましたが、今でも近所の人たち総出でお花見をしたことをおぼえています。みなさんにも自分の近くの桜を大切に、そして日本の風景に最も似合う桜を楽しんでいただきたいですね。

お庭で!この花

駐車場から滝桜へ向かう道々には多くの露店が並んでいるのですが、中で目を引くのが滝桜の苗。「千年たったら滝桜になるよ!」というおじさんの売り声が楽しくて、私も一鉢買いました。
桜の苗は植える前に一晩根を水に浸し、直径30cm、深さも30cmくらいの植え穴を掘って植えます。このとき掘り起こした土に堆肥を混ぜるほか、腐葉土などを加えることで水はけのよい土にするのがコツ、桜は根の回りに水が溜まる(停滞水)のを嫌います。幹が風で倒れたり、枝が折れないように支柱を立ててあげるのも忘れずに。水やりは乾いたときにあげる程度で、毎年12月ころに寒肥を与えます。
これは滝桜ではないのですが、最近私の実家のコンクリートのすき間から出てきた桜が、見たこともない色の花をつけました。千年たったらなんという名で呼ばれるのでしょう?生命力の強い桜ですが、苗から花をつけるには約10年くらいかかりますから気長に考えて、何しろ千年たったら滝桜ですからね。

杉井明美先生 PROFILE
千葉県出身。生家が花の農園で、幼少の頃から草花と親しんでいた。ファッションの世界で働いていたが、観葉植物専門店「グリーンハウス404」の店長を経て、園芸家に転進。グリーンコーディネートの仕事を「本当にいい仕事です」と目を輝かせる。
NHK「趣味の園芸」の講師
グリーンアドバイザー認定審査員
風のみどり塾主宰
おたより募集
植物やガーデニングに関することで、日頃思っている疑問点、質問など。また、皆さんの自慢のお庭やお花の写真など、杉井先生にぜひみてほしい写真があればお送りください。なお、お送りいただいた写真は返却できませんのでご注意を。
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