2004年夏号 vol.16
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01名水紀行利尻島
02水の匠たち天然氷 [阿佐田哲男さん]
03水と上手におつきあい夏バテ知らずのカラダに!
04ツボ健康法頭痛
05クリンスイ・クラブ会員体験レポート釣りに挑戦!
06温故知水「涼しい水辺の花火大会」
07杉井明美の「季節を探しに〈続・実践編〉」
08お店訪問11世界の水〈第6回〉
09クリンスイNOW12Enjoy!アウトドア〈第5回〉
10Cleansui-Club News13ポヨンらんど
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水の匠たち
天然水
阿左美哲男さん(天然氷蔵元「阿左美冷蔵」
/埼玉県秩父郡上皆野町)
天然カキ氷から「氷画」まで 匠がみせる天然氷の世界
じっくり時間をかけて育てた天然氷には、水のうまみ成分が凝縮されており、透明感や適度な硬さもあって自然の美しさがそこに見られる。
今回は天然氷造りと、そこから派生した独自のアートワークについて、「阿左美冷蔵」4代目蔵元の阿左美哲男さんよりお話しを伺いました。
■舌の上でふんわり溶ける 蔵元で味わう極上天然かき氷
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花模様の結晶は、天然氷特有の「チンダル像」。氷が溶ける際にできる。冷蔵庫で急激に冷やした氷にこのような現象は見られない。
 上長瀞駅近くの国道140号沿い。「天然氷 阿左美冷蔵」の布看板が涼しげに風になびく。中庭では絶え間なく氷が削られ、天然かき氷が山盛りになって出てくる。あずき、抹茶黒みつ、メロン、コーヒーなど、カキ氷のメニューは常時6〜8種類。冬の甘酒カキ氷も好評だ。「シロップは、体のことを考えて無添加のものを特注しています」と阿左美さん。氷の削られる音が響く中、スイセンやひがん花など四季折々の和花に囲まれた庭に腰を下ろすと、どこか懐かしさを覚える。ガラスの器にわんさかと盛られた天然カキ氷を、サジですくって口の中へ。細かく削られたカキ氷は、みるみるうちに舌の上でふんわり溶け、天然氷の冷たさとシロップの上品な甘さがほのかにひろがる。  
 このカキ氷の原型は、氷室に積んである70cm×50cmの天然氷を一枚一枚取り出して切ったもの。今年採れた氷はおよそ1000枚。そのうち700枚はこの庭でカキ氷となり、残りは近所の観光店やデパート、都内ショットバーなどへ。秩父には、その昔天然氷を造っている氷屋が10軒近くあったが、今は阿左美冷蔵だけとなった。
■天然氷をつくるということは忍耐と愛情を示す子育てに似ている
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(左上) まだ完全に表面が凍っていない為、氷上には乗らずに長さ5mのホウキで氷上そうじをする。
(左下) 切り出した氷を氷室に運ぶ。氷室は5秒いるだけで手足が冷える。
(右) 天然カキ氷「野いちご」500円。大盛りに大満足

 かき氷を食すのどかな光景とは裏腹に、氷造りには絶大な労力が費やされている。氷池に引き込んだ沢の水が凍っていくのを見守る「天然氷造り」は、まるで子育てのようなもの、忍耐と愛情が必要とされる。
 残暑がおさまり肌寒くなる10月、天然氷造りの時期がやってくる。宝登山にある池周辺の草を刈り、汚れを落とし、暑さでひび入った池をセメントで修理する…。この「下地づくり」の後は、高野沢の天然水を池に取り入れると同時に、風で次々と落ちてくる枯れ葉をすくう戦いが待つ。池に氷が張り出し始めても、全面結氷するまでは、摂氏-5度〜-2度の中、凍えを忍びながらも枯れ葉の掃き出し作業が続けられる。「天然氷造りというのは、一言でいえばひたすら掃除をすることです。氷に枯れ葉が混じったら、食べられなくなりますからね」。自然のままの姿を手に入れるということは、余計に手がかかるものなのだ。
 12月上旬、全面結氷。膨張する氷で池の縁が凍らないよう、毎日50cm程氷を割り続ける。氷の切り出しは、15cmの厚さになった頃がベスト。それ以上の厚さは、運び出しにもかき氷機の大きさにも適さない。切り出しは、その大きさに合わせて氷面をヘラで削り、線を引いていく。最近は電動のこぎりが普及し、作業が幾らか軽減した。
 3日程かけ、氷を壊さないように氷室へと運び、慎重に積み上げていく。近年の温暖化の影響を受けつつも、昨年は1000枚の収穫。氷室のおおよそ半分が透明な物体で埋め尽くされる。
 こうして大事に育てた氷を、春は桜ふぶきを、夏は和花を、秋はもみじを愛でながら、活気に満ちる中庭で、サラサラと削って食べるのだ。
■氷を見つめ生きる姿 氷造りの匠が極めた美
 阿左美さんは、秩父唯一の天然氷の造り手であるのみならず、「氷画」の創始者としての顔を持つ。氷画とは、氷を版とした版画を制作し、氷ブロックの表面に水彩絵の具を落とし、和紙に刷り込んでいく技法だ。色のぼかしが幻想的な雰囲気を醸し、筆での表現とはまた違った味わいを持つ。氷と共に四季を見守る氷造りの匠がそこで見出した美が、アートワークとして生み出されているのだ。
阿左美哲男氏のアートワーク
「Scene Impression-1」
阿左美哲男氏作の氷画。世界で初めて阿左美氏が考案。縁側脇には「氷画工房」があり、作品を毎夏公開。カキ氷を味わいながら氷の美を堪能できる。
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「Ice light」(2003年)
採氷地にて氷のあかりを見事に表現。氷本来の冷たさと温かみが感じられる作品。
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0493-72-1220
※2004/6/1〜7/19《ゆらぎの心象展》開催。埼玉伝統工芸会館にて
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阿左美冷蔵
0492-62-1119
住所:埼玉県秩父郡皆野町大字金崎27-1
営業時間:10:00-17:00(年中無休)
全50席を擁する風情漂う庭には、蔵元発の天然カキ氷(一律500円)を目当てにやってくる人々の姿が。昨年は延べ25000人ものお客さんが足を運んだ程、こちらの天然カキ氷の味は絶品。常時6〜7種類のメニューは季節により変動。庭席のほか、座敷に30席ある。
写真提供/細島雅代
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