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玉じゃくりを愛好する古老から、そんな話を聞いたことがある。だから、「最後の清流」の四万十川の中でも、とびきりに美しい水が流れるこの支流の淵で玉じゃくりをし、そのアユを食べてみたかったのだ。
その支流の名前は中津川。四万十川に残された「最後の源流」とも言える川だ。四万十川といえども本流や大きな支流にはダムや堰堤があり、そこで取られた水は本来の川筋を流れることができない。中津川は本流筋の中流域に位置する四万十町の山から流れる支流だけれど、ダムや堰堤に水を取られることなく海まで流れる川としては、最も奥まったところにある。ゆえに「四万十川最後の源流」なのだ。
近年の四万十川の水質とアユの味の低下を嘆く地元の方でも、中津川の話になると「あそこのアユはうまいよぉ」と、急に自信を取り戻した表情で語るのである。
湧き水が流れる森の中で炭火をおこし、獲ったアユを塩焼きにした。身は締まり、骨は柔らかく、頭から尻尾まで、もちろん内蔵も、すべてが豊かな甘みを含んでいた。まるで極上の出汁を利かせた野菜のような味わいだ。良い川と、良い水が、本来の恵みの味を育んでいた。
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