cleansui club (クリンスイ・クラブ)
サイトマップ お問い合わせ
MENU
TOP > 会報誌WEB版 > Travel・名水紀行:「安曇野」長野県
水から始まる、豊かな生活マガジン[クリンスイ・クラブ] 2008 Fall vol.33
Styleのある暮らし:「水の意匠」
Cleansui Special Interview:「柿沢安耶さん」
Travel・名水紀行:「安曇野」長野県
クリンスイをたずねて:「和牛屋赤坂 くうたら」
みずみずしくきれいに:「クリンスイを使って おいしいレシピ!!」
吉川ゆりのあれこれ健康コーナー:「腹を為す(上編)」
杉井明美のインドアガーデニング:「セントポーリア」
福田ナオのなんでも体験コーナー:「ペットシッターに『世話』と『しつけ』を学ぶ」
Travel名水紀行  安曇野/穏やかな景色の中に流れる 暖かな人の想い
※このページのMovieをご覧いただくためには、Adobe社のFlash Player 9以上が必要です。
page 2 3
 菜の花畑の湿った土の香りの中、道祖神の前で足をとめた。二体の神像が微笑みながら仲睦まじく寄り添ったものが、安曇野ではよく見られる。
 どうして二体の像を寄り添わせたのだろう。ふと思いをめぐらせる。誰か大切な、逢えることのない人へ寄せる想いや、長い旅路の幸せを願いながら彫られたものかもしれない。あるいは像を彫る時間(とき)の中で、寂しさを静かに昇華させていったのかもしれない。
 澄んだ空気と、柔らかな風の中に広がる春の安曇野の景色を印象づけるのは、人の心が込められた静けさであるような気がした。

人影のない風景の中で、二体の道祖神が微笑んでいた。

愛情を込めたわさび作り

 若葉が萌える樹々に囲まれながらゆったりと流れる澄んだ川のほとりで、大きな水車が二つ並んでゆっくりと回っている。黒澤明監督が最終作の映画、『夢』のロケ地に選んだことで知られる風景だ。
  水車小屋は、東京ドームが11個も入るほどの広大なわさび農場の一画にある。森に囲まれた、広い谷の中に拓かれたわさび田に近づくにつれ、「シャララララ、カシャララララ、」という軽やかな音が聞こえてくる。それは、幾人もの農夫たちが収穫後のわさび田の整地や掃除をしている音であった。小石が敷きつめられたわさび田を、「じょれん」という農具で平らにならしていく際に、はた織りのコマを送るような音が奏でられる。
  大地から湧き出す清冽(せいれつ)な水が、わさび田の中をまんべんなく流れるためには、地面の形を鏡のように平らに整えなくてはならない。
「じょれんの音を聞くだけで、ベテランか新米かすぐわかるよ」
  わさび田のほとりの作業小屋で、収穫したばかりのわさびの仕分け作業をしていた女性が語った。
  わさび田の中で、疲れたように農具にもたれかかって休んでいる若い農夫に、トラクターなどの機械は使わないのかと尋ねてみた。
「機械が使えれば楽なんですけどね。油が漏れて流れたりするし、細やかな整地は手作業じゃなきゃできないんです」
  地中から水が湧き出している場所と、そうでない場所では地面の堅さが異なり、わさびの育ち方も変わるという。その加減をみながらの繊細な作業なのだそうだ。
「大変は大変ですけどね、機械じゃ愛情は育てられませんから」
  と言い、少し照れたように笑った。

「大王わさび農場」は一日に12万トンもの豊富な有水量を利用し、年間を通じてわさびの生産が行われている。広い敷地内には様々な見所がある。 ▲清冽な水に育まれたわさびの香りは、食べる人の心をしなやかに力づけてくれる。

農場内にある『そば処 大王』の「わさび菜丼とおそばのセット」がお勧めです。

見るからに中身が充実し、手に取るとずっしりとした重みのある手作りのパン。地元の人々からも人気が高く、午後には品切れになるものも多い。▲店主の中村さんは毎朝4時から釜に火を入れてパンを焼いている。

手作りパンはご馳走である

  安曇野の湧水は様々な恵みを暮らしの中にもたらしている。蕎麦屋が多いのは言うに及ばず、意外なほど多いのが手作りパンの工房だ。天然酵母で仕込んだこだわりのパンを生み出す工房が、街中や森の中のそこここで営まれている。
 そのひとつ、安曇野駅の中心地の穂高駅前に近い『こっふぇる梅太郎』の店の扉を開くと、どっしりと濃密なパン生地の香りに包まれた。国産小麦の粉と天然酵母にこだわって焼き上げたという品々は、どれも充実した重厚な雰囲気を漂わせている。
「初めて国産小麦と天然酵母のパンを食べたときに感動して、こんなパンを自分も作りたい、と思ったのがきっかけですね。天然酵母にもいろいろあるので、酵母の種類によって仕上がりがまったく違ってくるのも魅力です」
 と、店主の中山聡さんが語った。品揃えも、ベーグルやブット、クロワッサンなど、パン生地そのものの味を活かした品々が多い。
 いくつかの種類のパンを分けてもらい、春の安曇野の景色を眺めながらひと口、もうひと口と噛みしめてみた。ゆっくりと噛むほどに豊かな香りと味が湧き出してくる。パンとは小麦の味を楽しむご馳走だったのだ、と改めて認識させられた。スーパーやコンビニエンスストアの棚のパンなどを食べていたら、人生の大きな損失なのである。
page 2 3
このページの先頭へ
(c)copyright CleansuiClub, All rights Reserved. プライバシーポリシー 活動目的・会員規約 お問い合わせ