「water alive〜水道水を飲もう」

和紙作家
堀木エリ子 さん

※音声が出ますので、音量にはご注意ください。

  1. 水の偶然性‥
  2. 白い紙と、神への畏敬‥
  3. 福井県で見たもの‥
  4. 家族の温泉旅行‥
  5. 世界へかける夢‥
  1. 水の偶然性‥ 篇

    クリンスイ・ウォーターアライブ、今月は、和紙作家の堀木エリ子さんが語ります。

    陶芸は、火の芸術といわれますが、紙すきは水の芸術です。
    畳3畳分もある、大きな和紙を漉くときには、10人がかりでタイミングを合わせます。
    人の力はせいぜい7割、残りの3割は水の力による偶然性が和紙の仕上がりを左右します。
    100%思い通りに仕上がることはありませんので、思い通りにならない苦しみもありますが。
    その偶然性は大きな楽しみでもあります。
    水とともに作り出す、和紙の世界。楽しみながら、追い求めたいと思っています

  2. 白い紙と、神への畏敬‥ 篇

    中国から伝わった紙づくりの技術。
    職人さんたちは、白い紙が神様につながると考えて、冷たい水に手を浸して原料を選別したり、何度も清らかな水にくぐらせて、和紙に汚れのない白さを求めてきました。
    お金や品物を浄化するために、祝儀袋やのし紙を使ったり、年末には障子を貼り替えて、新しい年神様をお迎えする。
    神社では、紙垂と呼ばれる白い紙を結界にしています。
    和紙に込めた、神様や自然への畏敬と祈りは、いつまでも大切にしたい、日本人の心です。

  3. 福井県で見たもの‥ 篇

    私はもともと、アートや伝統工芸とは、あまり縁のない普通のOLでした。
    あるとき、福井県・武生にある越前和紙の工房を訪れました。
    冷たい水に腕をつけて、体から湯気を上げて作業をする
    職人さんたちの姿を見た時の、神々しいほどの美しさは、大きな衝撃でした。
    この素晴らしい技術と営みを世代に送らなくてはという思いから、和紙の世界に飛び込みました。
    独学で創作活動をして、今年は30周年です。
    今後は、後進を育てることが、大きな課題の一つです。

  4. 和紙の可能性‥ 篇

    漉きたての和紙に、水滴を投げつけたり、いろいろな異素材を漉き込んだり・・、
    新しい技術に挑戦し始めた当初、いつも周りからは、邪道だと言われました。
    伝統と革新は対極にある言葉ではなく、革新の積み重ねが伝統になるのだと思います。
    畳一畳分が限界だった大きさも今では10メートル以上の和紙が作れるようになって、立体的に漉き上げる技術も可能になりました。
    伝統を未来へつなぐということと、革新を伝統に育てる、ということを両立して次世代へつなぐ。
    それが、私の信念です。

  5. 世界へかける夢‥ 篇

    かつては、日本中に、紙漉きを行う集落がありました。
    より美しく、強い和紙を求めて、清らかな水とともに、紙作りの技術を高めてきました。
    現代では、燃えない、汚れない、破れない、
    変色しない、などの技術開発も進化しています。
    2020年の聖火台を、和紙で作りたい。それがいまの、私の夢です。 日本のものづくりの可能性と、和紙という伝統素材の力を、
    祈りのともしびとともに、世界に発信したいと夢見ています。