アーティスト
石井竜也 さん
※音声が出ますので、音量にはご注意ください。
クリンスイ・ウォーターアライブ、今月は、アーティストの、石井竜也さんが語ります。
90年代に、「河童」をはじめとする映画の制作を手がけたのですが、
コンセプトはいずれも、「水」でした。
当時はバブル景気の真っ只中で、日本全国、ゴルフ場やリゾートの建設ラッシュ、
次々に美しい自然が失われてゆく時代だったのです。
自然破壊によって、水は浄化能力を失い、川も、海も、大地すらも汚染され、
農業や漁業にも悪影響を及ぼしていきます。
映像を通じて伝えたかった、水は日本人の源(みなもと)というメッセージは、
いまも変わらず持ち続けています。
もう、20年にもなりますが、自宅には常に2週間分の水を備蓄しています。
防災用品はたくさんありますが、水と光はまさに命綱です。
いつ、大きな地震が来てもおかしくない、災害国に住んでいる以上、
水は、最低限の持つべき財産だというのが私のフィロソフィ。
娘が産まれてからは、量だけでなく、より健康的な水を求めるようになりました。
彼女もいずれは私の元から巣立ってゆくのでしょうが、
水の大切さは、しっかり教えてあげたいと思います。
私の故郷、北茨城の五浦海岸は、明治時代に岡倉天心が
日本美術院を作ったことで知られています。
私自身も、子供のころから海を眺めるのが大好きでした。
親交のある日本画家の、千住博さんは、
滝の前に一頭の牡鹿が現れた姿を見て、野生の美しさに心を打たれ
以来、様々な滝を描き続けています。
海が、滝が、水が持つ大きな生命力は、いつの時代にも創造力の原点だと思います。
9月にリリースしたニューアルバムでは、
1970年代半ばからのニューミュージックの
ヒットナンバーをカバーしています。
当時を知らない若いミュージシャンたちが、
とても新鮮な気持ちで、アルバム作りに取り組んでくれました。
いま、人々の気持ちは、暗く、ピリピリしているように感じます。
乾いた砂漠に水を求め、ダイヤモンドの輝きを探したい。
そんなコンセプトで作った「DIAMOND MEMORIES」。
あのころが懐かしい方も、若い世代の方も、ぜひ、聴いてみてください。